パズル制作の裏側 第40話

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続・難問ってなに?

文字パズルは、パズル面というスペース(15×15ならば225マス、20×25ならば500マス)をどうシェアするか?……先号の最後にこう書きました。
パズル面を構成する要素は、次の3種類となります。
①「表出し文字」…あらかじめパズル面に出ている文字で、1回しか使われません。
②「数字マス」…小さな数字が左肩にあるマスで、2回以上使われる文字が入ります(チェック表の数字と対応しています)。
③「黒マス」…熟語を分割する壁として機能します。
黒マスが少なければ少ないほど熟語の要素が大きくなり、文字パズルとして完成度が高いといえるかもしれません。ただ、熟語の数が多い場合でも、2文字熟語ばかりならば、それは面白みには繋がらない。大切なのは3文字以上の熟語をいかに多くするか、なのです。
オーソドックスには「表出し文字が少ないものが難問」といえると思います。表出し文字が少なくなればなるほど、チェック表は必然的に(かつ相対的に)多くなります。20×25のパズル面(2ページ)ならば、表出し文字がないノーヒント問題の場合、チェック表は80前後くらいになります。
逆に言うと、「表出し文字が多く、チェック表の数が少ないものが初心者向け」といえるかもしれません。
もちろん、チェック表を80よりも少なくすることもできるはずなのですが、すなわちそれは同じ文字(それも汎用性の高い無難な文字)を多用することになりますので、面白みが欠けるものになると推察。具体的には「○○人・○○家・○○学」的な熟語を多用するイメージでしょうか。
ちなみに先号の冒頭で示した編集の方からの質問「1ページのホワイトですが、こちらを表出し文字をなしにして超難問にするのは可能でしょうか?」というのは「ほぼ無理」というか、かなりキツいと思います。
今回は試験的に、あまり推奨できない「2文字熟語」を多用し、なるたけ表出し文字を少なめに……ということを心がけて、13×13マスの正統派ナンクロを作成してみました。
結論的にいえば、「やっぱり!」という部分と、「やってみないとわからないことは多いなあ」という感想です。
「難しいパズルと易しいパズルの差はどこにあるのか?」という編集の方からの問いからは大回りしている気がしますが、私としても興味深い(勉強になる)話になりつつあります。実は、この試作はそこそこ紆余曲折して(推奨できない熟語構成からスタートしているからなのですが)かなり手間がかかりました。しかし、そこからの学びは多い。
次回は、このパズルの解説から始めて、「これをホワイトにしたらどうなるか?」みたいな話に繋げられればと思います。

●このコラムは、難問漢字館Vol.42に掲載されたものです。

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