パズル制作の裏側 第44話

【前回】パズル制作の裏側 第43話


続続続続続・難問ってなに?

 まずは前回載せたパズルAとBの解答を。
BのワイルドさとAの単調さがよくわかると思います。


 

 ナンクロでは、パズル面サイズにより「適切なチェック表の数」というのがあるのですが、上記のパズル面は13×13と小さいので、必然的にチェック表の数も少なくなる。限られたチェック表の文字だけで熟語を作っていくのはかなり難しいため、このサイズで表出し文字を少なくする(あるいはゼロにする)のはほとんど不可能です。

 表出し文字を少なくしようとすれば、「熟語構成能力の高い文字」を多く使用することがその解決策になるのですが、熟語構成能力の高い文字とは「いろいろな熟語に使い回すことのできる文字」のことで、「大」「人」などがその代表格。つなぎの文字として、特に2文字熟語部分で活躍します。作例Aでいえば、チェック表の数を少なくし過ぎたために、チェック表の文字では処理しきれないところが出てきてしまい、特に2文字部分に「熟語構成能力の高い文字」を多く使用した……そういう感じです。

 先ほど書いたように13×13ですと、表出し文字をゼロにするのはほぼ不可能ですが、20×25ならばギリギリ可能なのです。その一例がVol.43〜今号のQ43(ノーヒント・ホワイトナンクロ)です。13×13だとマス目の総数は169ですが、20×25では500と、3倍近くマス目が多い。このくらいのマス目の数だと作家からすると、かなりいろいろできるのです。

 実を言いますと、同じ2ページでも20×25ではなく20×27になると、その差はさらに大きくなります。読者からしたらあまり違いがない(もしかしたらその違いに気づかない)かもしれませんが、実際、マス目の数でいうとその差は40もある(20×27ですと540マスになりますので)。というわけで来号(Vol.47)と今月発売される『ホワイト漢字館』Vol.7では、20×27にさせてもらってます。

 ちょっと理屈っぽい話が続き過ぎたかもしれません。こういう話が好きな方・馴染みのある方、また、そうでない方、いろいろいらっしゃると思います。実は作家側も(おそらく)人それぞれ、さまざま。たぶん私は中間派だと認識しているのですが、言葉側がメインの方も少なくなく、逆に、基本的に構造側から考える方もいらっしゃるように見受けられます(やはり理数系の人は構造側から考える方が多いように思います)。

 気づけば1年もの長きにわたって「超難問とはナニカ。表出しが少なければそれでイイノカ、面白く魅力的でアルノカ」というテーマについて書いてきました。次号からは、別の視点から「パズルの魅力」についてお話させていただきます。

●このコラムは、難問漢字館Vol.46に掲載されたものです。

【次回】パズル制作の裏側 第45話

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