パズル制作の裏側 第43話

【前回】パズル制作の裏側 第42話


続続続続・難問ってなに?

 マス目を2つ並べます。Aはこれまで検討してきた今回試験的に作成したもの、Bは『ナンクロ漢字館』に掲載したものを許可を得て転載したものです。『難問漢字館』で同サイズのものがなかったためで他意はありません、念のため。姉妹誌ですしね。


 うーん、思ったより、一見の違いは明瞭になりませんね。では、データ的に両者を検討してみましょう。
『ナンクロ漢字館』に掲載したものは難問を志向していないため、表出し文字はあえてバレバレにしている部分もあります。それも含めてデータを見てみます。


 まず、チェック表が10も違うことに驚きます。黒マスを除いたチェック表も11も違う。表出し文字も9つ違う。使用熟語にいたっては14も違います。

 使用熟語をさらに細かくみると、Aでは3文字が14個、4文字が6個、つまり2文字が71個も使用されています。3文字以上でないとナンクロでは確定要素にならないという点から見ると、かなりマス目が「有効に使われていない」ということになります(今回はあえて、そう作成しています)。

 Bのほうは、3文字が22、4文字が6、そしてホワイトではお楽しみ要素となる長い熟語として7文字が1つ使用されています。ナンクロで確定要素となる3文字以上の熟語は29個、全体で77ですから、2文字は48個しか使用されていません。


 役に立ちにくい2文字の量の違いも際立っていますが、Aでは確定要素となる3文字以上の(有効な)熟語が20、Bでは29という、こちらの差がなんといっても大きい。つまり極論を言えば、Aのほうはパズルとしての喜びが少ないということになるのです。(厳密に言えば、ナンクロは黒マスの配置の醍醐味を味わうものなので、こればかり言うのは適切ではないのですが。)

 ちなみに解答時における黒マスの数は両者とも52、これも興味深いところです。13×13マスですから全体のマス目数は169、つまり黒マスの占める割合は両者とも30%ほど。調べていませんが、おそらくどのナンクロでも黒マスの比率はこの程度かと思われます。

 超難問とはナニカ。表出しが少なければそれでイイノカ。面白く、魅力的でアルノカ。このテーマはなかなか奥が深いですね。次回は『難問漢字館』Vol.43のQ43(ノーヒント・ホワイトナンクロ)を分析・検討してみたいと思います。

●このコラムは、難問漢字館Vol.45に掲載されたものです。

【次回】パズル制作の裏側 第44話

ページトップへ戻る