パズル制作の裏側 第31話

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源流を遡って

「カギ付きクロスワードパズル」

そういえば大本のオオモト、カギ付きのクロスワードパズルを紹介していなかったような気がします。最初の頃に触れたかしら。まあ、今回はそれでいきましょう。まずこちらをご覧ください。

これがカギ付きのクロスワードパズルです。もちろん数字は「同じ番号には同じ文字が入る」わけではありません。言葉に対してカギ(ヒントの言葉)がついていて、推測して文字を入れていくスタイル。カギについてはまた後ほど説明します。
クロスワードはこのスタイルが原型。日本語の前にアルファベットから始まったんですけれど、日本語としてはカタカナから始まりました。現在でもカギ付きクロスはカタカナが主流です。のちに漢字バージョンも生まれました。漢字バージョンはそれほど広がってはいないので、見たことない方がいらっしゃるかもしれません。
それではこのマス目の解答を、まずはカタカナで構成してみましょう。

次にこのマス目の解答を、漢字で構成してみましょう。

重量感が違いますね。表意文字であり、多数の文字数を持つ、漢字の真骨頂とでもいえましょうか。カギ付きクロスワードパズルですからもちろん、これらにカギがつくわけです。カギこそがクロスの命。

ちなみにマス目の話でいうと「カタカナだと黒マスを少なくしてもだいじょうぶ」という特徴もあります。例えば、、、

漢字ではこのようにはいきません。この場合、問題マス目も以下のようになります。

 あれ、カギの数が変わりませんね。変えようと思ったのですが、まあ、この話は後ほど。では、カギ付きクロスの醍醐味、カギについて見ていきましょう。

これはカタカナも漢字も同じなんですが、カギ付きクロスワードパズルではインパクトのある単語が求められます。ナンクロの説明でこれまで使ってきた言葉でいえば「展開力のない文字こそ」とでもいいましょうか。つまりガチガチで融通の効かないな言葉こそ、カギ付きクロスでは生きる。あるいは、あいまいな言葉は似合わないのです。さらに最終的には(解く側=読者の)知識の差をどのようにフォローして担保するのか、がカギ付きクロスでは問題になります。これこそ、カギ付きクロスの生命線なのです。

では、試しにカギを作成してみましょう。

(ヨコのカギ1)
(ヨコのカギ4)
(ヨコのカギ6)

(タテのカギ2)
(タテのカギ3)
(タテのカギ4)
(タテのカギ5)

カギを考えるのは楽しいもの、みなさんも少し考えてみてください。マス目の構成する言葉とともにカギこそ、カギ付きクロスの喜びの源泉(作家の個性・パズルの面白み・難易度の高低)なのですから。

●このコラムは、難問漢字館Vol.33に掲載されたものです。

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