パズル制作の裏側 第30話

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穴うめ熟語パズルを紹介します。

これは穴うめ熟語パズルと呼ばれるパズルです。
ナンクロのようにどこの雑誌でもこの名前が使われるわけではありません。
似たタイプのパズルも別にあります。それについてはまた後日。とりあえず挑戦してみましょう。
リストの文字を空白マスに入れて、リストに残った文字でできる熟語を答えてください、というスタイル
リストは以下です。
(リスト)案・英・華・械・甘・稀・虚・勲・君・幻・山・刺・子・十・適・点・働・徳・令

さて、どうでしょう。答えに進む前に、このパズルについて少し考察してみましょう。たとえば以下だと、ずいぶん印象が違うかもしれません。リストは同じです。

ヒントになる文字が違うだけでかなり印象が変わります。これは四字熟語と二字熟語によるパズルなので、二字のほうの強烈さが失われると四字の部分だけで考えないといけなくなってしまいます。突き進めれば、次のパターンまで行きつきます。リストは同じ。

つまり四字熟語のみのパズルという形式です。ナンダコレですが、例題02くらいのヒントだと、これとほとんど変わらない感じですよね。

解答マス目は以下になります。

 リストに残る文字は「「案・山・子」、つまり答えは「案山子」になります。

あと、例題02で示したように、二字熟語のパワーも大切なんですが、言うまでもなく大切なのは四字熟語の強度。
使われる四字熟語が「一世一代」とか「同工異曲」ですと、確定がしにくくなる。もちろん難易度が増すんですが、逆に解き味はスムーズさが失われ減じるともいえます。
それにあまりにも有名でない四字熟語を使用することも一考に値すると思います。
こちらも難易度はあがりますが、解いたあとの納得感は曖昧になりそう。この辺りは、より深い言葉を追求したい読者とパズルでスッキリとしたい読者で、感想が違ってくるでしょう。
(パズルをやる前は知らなくても、終えたあとで納得、知ることができてよかった的なものになるのがペストな気がしますが、なかなかそうもいかないのです。)次

これでリストが「一・一・句・言・世・代」だとしたら「一言一句」「一世一代」の両方が成り立ってしまいます。引っ掛けはパズルの楽しさの大きな要素です。
ただ「引っ掛けをどの程度しかけるか」はパズル作家の永遠の課題、そこに読者の好みが絡んできます。今回は前号の最後で触れた別解答について説明できませんでした。そちらはまた後日。

●このコラムは、難問漢字館Vol.32に掲載されたものです。

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