パズル制作の裏側 第26話

【前回】パズル制作の裏側 第25話

続・パズル紹介
まずは前号の宿題から。漢字ジグザグパズルにおける「決定できない状態」について。前号を横に並べて読んでくださいね。今回のマス目は以下。

そして、リストはこれ。

1 歩行者天国
2 万国旗
3 卒業論文
4 大漁旗
5 中立国

 なんだ、前号とあまり変わらないじゃないか。そう見えるかもしれません。でもまあ、とりあえず進めてみましょう。
「行」「国」「立」は、確定的に入ります。ですが「業」と「漁」は色マスに示したように双方に入る可能性があります。

ふうむ。この先はどうしましょう。前回にならい、リストにおいて共通して使用されている文字に注目してみます。つまり「国」と「旗」。すると、以下のような推測ができます。

 「国」の位置はほぼ確定できそうです。ただ「漁」「旗」「天」「業」はまだ未確定状態。でも仮に次のように推定してみます。

 あれ、「卒業論文」がうまく納まりません。では、別の推測をしてみると以下のように。

 ああ、やっと落ち着きました。あとは残っている「卒業論文」を入れこめば完成です。でも、あれれ? 

「論」の位置は確定できるとしても「業」と「文」はどちらにも入ることが可能です。これはいったい?

成立していないパズルという場合もあります。

 つまり、このパズルは「パズルとして成立していない」ことになります。ジグザグパズルでは「ありがちな」この場面。まあそんな細かいところは、と思われる読者もいるかもしれませんが、仮に「業」か「文」が解答に関与しているとしたらどうでしょう。編集者側としたら正解者のなかからプレゼントを差し上げなければならないのですから大問題です。なにより、パズル作家としたら、これは赤面もの。我ながら恐い話です。作成したあと、自らチェックして発見する場合や、編集・校正の段階で発見していただける場合、そして悲しくも、印刷・発売されて読者の方から指摘される場合、などがあります。細かいミスよりは大局で楽しいパズルを、という見方もありますが、、、パズル作家としては気を引き締めたいところです。

 みなさまにお馴染みのナンクロでも、これはありうる事態です。たとえば「水力発電」と「水車小屋」でしか「水」が使用されていないような場合。「風」でも成立するじゃないか、というような。「○○学」とか「○○家」「○○人」などパターンも、どんな文字でも入りそうですもんね。

 さて、最後にもうひとつ、別のパズルを紹介しておきましょう。本誌ではあまり掲載がない気がします。さくさく漢字館やナンクロ漢字館ではたびたび登場しています。その名も八角形パズル。このタイプはテレビ番組ではけっこう採用されているような、逆にお馴染みかもしれません。

中央のマスには1文字が入り、取り囲む文字とともに2文字熟語を形成します。その1文字はなんでしょう?というもの。
 これ、簡単そうに見えて、実は「ほぼ・決定できない状態」になっている場合もあるのです。今回提示したものは、たぶん簡単かつ明解。もうわかりましたよね?
それでは続きはまた次号で。

●このコラムは、難問漢字館Vol.28に掲載されたものです。

【次回】パズル制作の裏側 第27話

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