パズル制作の裏側 第12話

【前回】パズル制作の裏側 第11話

今回は「リスト付き」のナンクロについて考察してみましょう。ベーシックなリスト付きナンクロは、以下のようなものです。

リスト「海・漢・減」

この解答は以下のようになります。

別タイプとしては、以下も一般的です。


リスト「一家言・三国一・四方山・百物語」

解答は以下。

最初のタイプはリストの1文字が二重マスに入るというもの。(この例ではリストは「さんずい」で統一されています。)次のタイプはリストの言葉が二重マスに入るというもの。(この例では「漢数字を含む言葉」というテーマ。)最初のタイプですと、このスタイルは難易度の増減にも利用できるので、統一性にこだわらない場合もあります。2番目のタイプでは、パズルそのもののテーマ性を浮かびあがせることが容易になるため、「江戸時代の人物がリスト」「岐阜県関連の言葉がリスト」など、そういったテーマ性のある問題で使用されることも多くなります。

このほかにも「マス目がピース状態になっていて、それがリスト」というのもあります。

 こういう「十字」や「方形」のピースがマス目から数カ所抜かれていて、それをあてはめる、というタイプですね。
ほかにも「はみ出しナンクロ」などもリスト付きナンクロの変型です。ある問題のマス目の左下部分だけ抜きますが、次のようなタイプ。下にはみ出した文字はそのタテ列の二重マスのどこかに入ります、というやつ。

また、マス目の外に和歌などが提示されていて「この和歌に使われている漢字のなかで、チェック表に登場しない文字を答えてください」というのも、ある意味でリスト付きナンクロの変型といえます。「リストの文字のなかで使用されていないものを上げよ」ということと同じだからです。
つまり、「リスト付きナンクロ」とはマス目の一部が抜かれており、「マス目の外に別の情報がある」いうタイプのパズルといえます。(最後の「和歌」の例ではマス目の一部は抜かれていませんけれど。)
ピースリストの場合などはマス目がドンと空いていて、目くらましというか、ふだんならばすぐわかるような部分もすぐにはわからない、という楽しみが導入されています。知識面というよりは、視覚・感覚的な要素ですね。
それに比べると、ベーシックなリスト付き問題では、ある種のテーマ性を実現できるという知識的な要素だけではなく、作成する側からすると、パズル的なある利点があるのです。すなわち、スタンダードナンクロでは使用が難しい文字を導入できるということ。

「スタンダードナンクロでは使用が難しい文字」とはなんでしょう。それはたとえば「四面楚歌」の「楚」です。(この続きは次号でまた)

このコラムは、難問漢字館Vol.14に掲載されたものです。

【次回】パズル制作の裏側 第13話

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